私の名前は おなら
友達からは、どうして? と言われる
そう言われても、名前は自分では付けられない
私が母のおなかの中に、小さく誕生した時、父と母は、それはそれは嬉しかったそうだ
父は喜び勇んで、プールに飛びこみ携帯電話をダメにしてしまったほどだ
エコーで私の姿を見ては
この子は男の子かな? それとも女の子かな?
少しずつ形になっていく私を見ては一喜一憂したそうだ
今はいない祖父や祖母まで巻き込んで
男の子なら何々
女の子なら何々
と私の名前を決める事だけに、毎週のように会議を開いた
会議の名前は「名前会議」だったかな?
名前会議では、大きな意見の食い違いが出た時には殴り合いのケンカにもなったと聞く
母の左の脇腹には今でも痛々しい傷あとが残っている
祖父母も名前の食い違いが原因で別居をしていた時期もあったそうだ
そして私がこの世に出てきた時の皆んなの喜んだ顔を私は一生忘れる事が出来ない
そしてその瞬間に誰もが同じ名前を口にした
おなら
皆んなが悩んで悩んで付けてくれた名前
嫌だから明日役所行って変えてくる