僕の父は車の整備工場を営んでいた
毎日、毎日、朝から晩まで仕事をしていた
もちろん休みの日も
その頃って「長く」「真面目に」「一生懸命」仕事をしていれば会社は、なんとかまわっていく時代と言われていた
夜遅くに疲れて帰って来た父が、ご飯を食べている途中で口を開けたまま寝ている姿を見た時、悲しいというか、胸が締め付けられる様な思いだった
今はいない父との思い出は、そう多くない
たまに父が昼間ほんの少し時間が空いた時、ヴァイオリンを奏でている僕を呼んで近くの河原に行った
限られた時間のなか、僕らはとにかく急いだ
遊ぶ時間は、そんなに長くない
父が時間をかけて整備した、古いけど唯一の僕らの車で出来るだけ速く河原へと走った
そう、その車の名前は「うんこ」
文字通り「うんこ」を飛ばしたのだ
楽しかったなぁ
でも、ガレージにある あの頃の「うんこ」はもう動かない
物を大切に扱えない人間は
正しい人間ではない☆